睡眠時無呼吸症候群:Sleap Apnea Syndrome (SAS )


1)概念

睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)は、睡眠中に呼吸が断続的に停止(無呼吸)したり、弱くなる(低呼吸)ことで、睡眠の質が低下し、全身に様々な悪影響を及ぼす病気です。
特に最も多いのは、上気道が狭くなり気流が止まる閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)です。


2)原因(病因)

● 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の主な原因

  • 上気道の狭窄(肥満による首周りの脂肪沈着、扁桃肥大、舌根沈下など)
  • 加齢や筋力低下により咽頭筋の緊張が弱くなる
  • 顎が小さい・後退しているなどの骨格的要因
  • 鼻閉(アレルギー性鼻炎、鼻中隔湾曲など)

● 中枢性睡眠時無呼吸(CSA)

呼吸を指令する脳の働きに問題があり、呼吸運動そのものが低下するタイプ。
心不全、脳血管障害、特定の薬剤(オピオイドなど)が原因になることがあります。


3)症状(臨床経過)

● 夜間

  • 大きないびき
  • 呼吸が止まる、途切れる
  • むせるように目が覚める
  • 頻尿
  • ぐっすり眠れない

● 日中

  • 強い眠気
  • 倦怠感
  • 集中力低下、注意力散漫
  • 頭痛(特に起床時)
  • 仕事・学業の能率低下
  • 交通事故リスクの増大

症状が慢性化すると 高血圧、心不全、不整脈、脳卒中、糖尿病の悪化 などにもつながります。


4)診断方法・検査

① スクリーニング

  • 簡易検査(パルスオキシメータ・携帯型睡眠モニター)
    → 在宅で実施でき、無呼吸の頻度などを測定。

→当院で在宅での検査が可能です。

② 精密検査

  • 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG:Polysomnography):当院で在宅での検査が可能です
    → 脳波、呼吸気流、胸腹運動、血中酸素飽和度、心電図、いびき音などを一晩かけて詳細に評価。
    → 無呼吸低呼吸指数(AHI:Apnea–Hypopnea Index)で重症度を分類
  • 5〜15:軽症
  • 15〜30:中等症
  • 30以上:重症→ CPAPの適応

5)治療

① 生活習慣の改善

  • 減量
  • 飲酒制限(特に寝る前)
  • 禁煙
  • 横向きで寝る(仰向けは悪化しやすい)
  • 鼻閉の治療

② CPAP(シーパップ)療法

最も一般的で効果の高い治療。
就寝時に鼻マスクから空気を送り込み、気道を押し広げて無呼吸を防ぐ方法。

③ 口腔内装置(マウスピース)

下顎を前方に出して気道を広げる装置。
軽症〜中等症で有効。

④ 外科的治療

以下のような原因が明確な場合に検討:

  • 扁桃肥大
  • 鼻の構造異常
  • 上顎・下顎の骨格異常

⑤ 中枢性の場合

心不全治療・薬剤調整など原因疾患の管理が中心となる。


6)予後

適切に治療すれば日中の眠気やいびきが改善し、
さらに 高血圧・心不全・脳卒中などのリスク低下 が期待できます。

逆に放置すると、

  • 高血圧
  • 心血管疾患
  • 2型糖尿病
  • 認知機能低下
  • 交通事故
    などのリスクが顕著に増加します。

7)後遺症

治療が行われない場合:

  • 持続する慢性疲労
  • 高血圧・心疾患の進行
  • 認知機能低下(記憶力・集中力)
  • 生活の質(QOL)低下

治療を適切に続けていれば、後遺症は最小限に抑えられます。